ショートエッセイ1
※facebookに書いてきたものを適当にピックアップしてここにも載せる。順番にはなんの関連性もない。ただの任意。
■金繋ぎ
障子戸のある家遊びにきた外人。慣れないので、戸を開けるときに指で穴を開けてしまった。
「sorry……」
外人が恐縮してあやまると、家主はにっこり笑って色付きの障子紙を紅葉型に切り、穴を覆って補修した。
壊れて、より美しく直す日本の文化。感銘を受けた外人は調子にのってもうひとつ穴をあけた。遂に、家主に追い出された。
割れた壺などを漆と金粉で繋ぐ「金つなぎ」。これにも感動する。毀れてしまったものを補修して、以前よりも美しくする。
日本人て不思議な民族だ。
■ジュークボックス
彼女は両国に住んでいた。駅近くの喫茶店でパフェなどを頂いているとき、
「ねえ、ドライブに行こうよ。海がいい」
「え〜海?もう冬に近い秋だぜ」
まったくこっちの意思を聞かずに・・・
「うん。それがいい」
店をつむじ風のように飛び出て自宅に車を取りにいった。オヤジの車だろうデカいトヨタクラウン。運転席の正面から見ると、小柄な娘なのでハンドルの上にすぐ顔がある。
「ちょっと大丈夫?ノーズの先の地面はちゃんと見えているの?」
「OKよ。いつも見えていないのだから……」
海といってもベイエリア。いまならフジテレビのあるあたり……。
「ああ……やだ。カーステまだ壊れている。Hoshibaさん代わりに歌ってよ」
「……あのね、キミに歌っていわれてカーステの代わりに歌ったヤツいるの、今まで?」
「この間まで付き合っていたカレはなんでも歌ってくれたよ」
「ソイツひょっとしてジュークボックスだったの?」
あれから星がいくども流れて……。そんな彼女もいまはマダカスガルでフランス人と結婚して混血児を育てている。あの島でもペルセウス座 流星群は見えたのだろうか?
(完)