2014-01-01から1年間の記事一覧

大晦日の映画館

大学三年のときだった。郷里への汽車の切符が取れないとか、その他にもなにやかやとすべてのタイミングがずれて帰郷を止めた。不貞腐れ半分に……。 その大晦日。新年の雑煮は遠縁の家で相伴させて貰うことにしたが、それまでたっぷり時間はある。そして……ふら…

郵便切手の糊だけでつながっている

20代で年賀状を出すのが、おおよそ半分だという。これでは、「日本郵便」も大変だ。これほど電子メールが当たり前になり、twitter,facebook,lineなどのSNSが普通になれば、紙の年賀状はかったるい。(鉄道が敷かれて、馬子が失職するようなものだ。) だが…

海賊

「先祖を溯ると海賊だったんだよね」 などと、結構なドヤ顔でおっしゃる人にときどき会う。 だが不思議な事に…… 「オレの先祖は山賊でさァ……」 とのたまうご仁には一度も会った事ない。 海賊の子孫達が手繰り寄せる先は松浦水軍、村上水軍、熊野水軍、九鬼水…

クリスマスにはチキン(臆病風)を……

「なんで日本人はクリスマスになると夢中でローストチキンを食べるの?」というアメリカ人が多い。 いや、ボクも何だろうと永年思ってきた。「日本ではターキー(七面鳥)が手に入りにくいから、その代替でチキンにしてんじゃね?」“ああなるほど!”と思いか…

下戸遺伝子

いまではすっかり人口に膾炙してしまっているが、アルコールを摂取すると体内でアセトアルデヒドというものになる。これが毒性を持つ。しかしよくしたもので、「アルコール脱水素酵素」というものが、この毒をただの酢酸にしてしまう。しかし、不幸なことに…

「サラダボウル③」

首都ワシントンDCの中の、それこそホワイト・ハウスから数ブロック離れたところにあったのがボクの行っていた大学であった。……「ベトナム戦争が」どう言い訳しても “敗北”に終わり、その憂鬱と屈折が社会のいろんなところにべったりと張り付いているような………

サラダ・ボウル②

首都ワシントンDCの中の、それこそ「ホワイト・ハウス」から数ブロック離れたところにあったのがボクの行っていた大学であった。「ベトナム戦争が」どう言い訳しても “敗北”に終わり、その憂鬱と屈折が社会のいろんなところにべったりと張り付いているような…

サラダ・ボウル①

首都ワシントンDCの中の、それこそホワイト・ハウスから数ブロック離れたところにあったのがボクの行っていた大学であった。 ラジオからは四六時中イーグルスの『ホテル・カルフォルニア』が流れていた。 https://www.youtube.com/watch?v=h0G1Ucw5HDg……「ベ…

打ち捨てられた志

まだ20代のころ。東京から真南に下ってグアム。そこからサイパンに向う。このマリアナ諸島は太平洋戦争の頃には日本の委任統治であった。眼下に展開する島々がかつての日本の領土だったのかという感慨はあったが、ただただひたすらに華やかに輝くエメラル…

怪鳥コンコルド

“怪鳥”と呼ばれた「コンコルド」でニューヨークからパリまで飛んだ事がある。1980年頃だったかな。 某広告主が是非乗りたいということで、同行した。ニューヨークのJFK空港のエールフランスの待合室でおしゃれなアペタイザーなどを食していると、フライ…

国境を越えるとき

ワシントンDCを真っすぐに北に上り、ニューヨーク州を縦断して、五大湖の一つオンタリオ湖から流れ出て大西洋に注ぐセント・ローレンス川を渡る。渡るとカナダ。真っすぐに行くと首都オタワに行く。そこから東へ折れモントリオールに向かい、ケベックを目指…

共感覚そしてアルチュール・ランボオ

レトリックのひとつに「共感覚法」というのがある。触覚、味覚、臭覚、視覚、聴覚の五感の間で表現をやりとりする方法だ。慣用句として「黄色い歓声」「深い味」「暖かい色」などを違和感なく使っている。コピーライターもこれが好物で「ラングドックのワイ…

色っぽい夢

生まれつきということではない。小学高学年の頃から夢に色がつくようになった。当初は明るい原色で、絵の具を溶かし込んだような真っ青な小川に真っ赤な魚が泳ぐ……といったような、まるでデズニー・アニメの世界のようであった。 高校のころ、人に切られた夢…

“ポエム化”そして“ポエマー”

“ポエム化”“ポエム化”というキーワードで日本の社会を鮮やかに袈裟懸けに斬り下げた小田嶋隆氏が『日本ポエム化現象の謎』という記事を「東洋経済オンライン」に連載したときの最初のページがこうであった。「日本中が“ポエム”であふれている。『夢』『勇気…

靄気(あいき)

外国のキャリアから久し振りに日本のエアラインに乗ったときに彼らフライト・アテンダントのサービスにちょっとした違和感がある。 え〜と……。湿気がたっぷり含んでじっとりした……何か……。打ち払っても払いのけてもまといついてくる東南アジアモンスーンの高…

オ・モ・テ・ナ・シ

オリンピック招致のプレゼンテーションで滝川クリステルがキーワードとして「オ・モ・テ・ナ・シ」と言って、なぜか最後に合掌した。西洋人顔のクリステルをなぜ出すのか?という詐欺でも働いているような居心地の悪さ。(日本人の顔をしてフランス語が流暢…

ノースリッジ地震

LAへ赴任して半年目くらいであった。1994年1月17日明け方。ベッドの下に大男が潜んでいて、ソイツが急に起き上がり突き上げて来たような感じで一瞬にして目が覚めた。 ……震源地に近いところに住んでいた男の話だと、寝ている体勢のママで1メートルほ…

SNSの液状化問題

毎日欠かさずブログを書いている男と話している。「ブログで200くらいいいね!つくと単純に嬉しいのよね」ってその彼はテレながらそう言った。 「それそれ。それをね、ボクは“液状化問題“って言っているんだよ。……ブログに限らずFBにもそういうのがいて、…

骨信仰

焼き場って言っていたものが火葬場になり、最近ではもっぱら斎場と言う。そこへ親類ならお付き合いすることになる。時間が来て火葬炉の前に立っていると、係員が台車に乗った焼きたての熱々を皆の前に引きずり出してくる。 (この係員も昔は「隠亡」<おんぼ…

20%ルール

余りにも有名になった「google20%ルール」。このルールというのは就業時間の20%を今の仕事と関連のないクリエイティビィティを感じられる仕事」へ使うということ。これは「使っていい」というのではなく「使わないといけない」というものである。「ム…