身辺

メタメタ認知

取引先である会社を経営する年上の男がいた。もう亡くなってから随分経つ。 彼が我が席に立ち寄っていろんな話をしてくれるのだが、この話がなんとも取り止めがない。 他の者もちょっと……いや、相当に辟易していた。 それをみんなが許していたのは、彼のひた…

春は残酷な季節です

世に言うところのアラサーの女性とランチをした。彼女と最初に会ったときの印象は、控え目でありながら微笑みがよく似合う美人というものだった。 しばらく音信が途絶えて数年後に再会したときには、デザイナーになっていた。 その種の学校を出たわけでもな…

走狗

北海道の高校時代、学校に行く途中に彼の家があったので、声を掛けて一緒に通学していた。それぞれが東京に出てきたが、学校は異なったので、それほど行き来したワケではなかったが、彼がマルクス・レーニンの思想に通じていたので、何度かお茶をしてレクチ…

動体視力と視野

運転免許更新の講習に行ってきた。警察と交通安全協会そして自動車教習所のズブズブの関係が気に入らないし(自動車教習所の上の方はほとんど警察OB……)、講習料が6000円でお釣りがパラパラと小銭だけだ。免許更新にトータルで10,000円ほど掛かるって、日本…

転校生

中学3年生のとき、何人かの転校生がやってきた。そのなかの一人は色が抜けるように白く、目がブルーの女子生徒であった。多分、どこかの代で「白系ロシア人」の血が混じったのだと思う。その上、頭もとても良かった。 彼女は一瞬で男の子たちを虜にした。私…

財布羽田事件

朝7:30発新千歳に搭乗するべく、空港リムジンバスで最寄り駅から羽田第一ターミナルに着いたのが6時35分くらい。 まだ余裕はある。トイレに行って、コンビニでおにぎり買うくらいの時間はある。 あら?「東京ばなな」! 友人にひとつ……とお尻のポケットに手を…

カタバミ  

ソメイヨシノの咲き始めた頃。 駅へ続くコンクリートの歩道の上に5㎜ほどの黄色い花が頼りなげに咲いていた。カタバミの花だ。「片喰」と書いたりもする。 柔らかな土のベッドもなく、氷のナイフのような寒風、アスファルトも溶ける炎暑……そして気まぐれな時…

名前

かつて大宅壮一という評論家がいた。彼は昔から言う「名は体を表わす」ということは本当のことだ、と言っていた。 理由は、親は子供の名前をつけるときに死ぬほど考える。そして、つまりは自分の“想い”とか“願い”を名前にして子供に托す。そんな想いや願いの…

プッタネスカ(娼婦風)

学生時代、ルームシェアしていた男が痔の手術をしてヒーヒー言って寝ているので、「よしメシ作ってやる」といってちらし寿司を作ってやったことがある。門前の小僧等というヤツね。母親のやるのを見ていて自然に覚えてしまっていたんだね。その友人は会えば…

気圧される

最寄り駅から準急新宿行き小田急線。8時30分頃なのでやや混んでいるが、ラッシュではない。乗り換え駅での人の流れに身を任せていると、反対側のドアの手すりを背に立つ塩梅になった。出口を目指して逆デルタ状に並んでいる10人ばかりと対面する感じになった…

色っぽい夢

生まれつきということではない。小学高学年の頃から夢に色がつくようになった。当初は明るい原色で、絵の具を溶かし込んだような真っ青な小川に真っ赤な魚が泳ぐ……といったような、まるでデズニー・アニメの世界のようであった。 高校のころ、人に切られた夢…

感傷旅行

人は心が折れるとなぜか北に向かう。青白く弱った心を南の強い太陽で逞しく日焼けさせればいいものだが、自傷的に寒い風が吹き、ときどき雪まで舞い散る北国へと向かう。 そんなことがあったわけではないが、大型台風26号を追いかけるように「北帰行」をし…

女医さん

相当前からだと思う。お尻に脂肪が溜まってゴロゴロするなあと思ってはいたが、痛くも痒くもないので放置しておいたら、永年の間に随分と成長してしまった。ゴルフ場やスポーツクラブの風呂で、タオルで前を隠すのではなく後ろを隠すようなことになり、何か…

Mt.シャスタ

2012年10月頭のLA。ベバリーセンター近くのホテルで友人夫婦を待っている。1993年〜1996年にはこの街で暮らしていた。その当時は休みの日といえば、彼らとツーペアでよくゴルフしていた。6年前の2006年にこの街に来た時にも連絡したが、ご主人の方が直腸癌…

年賀

迎春「ぼくの信念だが、恋は我々の徳にではなく、勇気に対して与えられたご褒美だと思っているんだ。ぼくは宇宙の中心は勇気であり、キリスト教の教える慈悲ではないと断言して憚らない」(ノーマン・メイラー)そうなのだ。「勇気」があるとき「ビッグバン…

「日本から学ぶ10のこと」

869年の「貞観大地震・津波」の1142年後に襲ってきた「東日本大震災」は暴虐の限りを尽くしたが、それの膨大なエネルギーが福島原発を破壊した。 このブログを次に書くときにはフクシマは人間が制御できる範囲内に納まっていればいいなと期待していたが、つ…

3.11

福島の「原発」の動向・推移のありようでは、どうなっていくのか解らない。荒波の上の笹舟のように儚い気分にさせるこの二週間余。 こんなときにブログに何を書けるのか?もしくは何を書かないといけないのか? 今回の歴史的大惨事に関しての、そのときどき…

20万年の記憶

ここのところ、急に寒くなった。 寒くなっていいことなんかほとんどない。ただひとつだけのいいことは、ストーブが焚けることかも知れない。 我が家の薪ストーブに2,3日前から火が入りはじめた。 前面のガラス越しに紅蓮と橙色の炎がめらめらと見える。この…

柿とカラス

庭のハゼの葉が朱に染まり、センリョウやマンリョウの実がいよいよ赤く熟し、雑草のように捨て置かれてぼうぼうの菊も今は咲き誇り、サザンカがちらりほらりと咲き始め、街路樹がたそがれ迫るオジさんの頭のようにまばらになってきた。いよいよもって秋も深…

ストレッチ・クラブ

わがパートナーはストレッチ・クラブに通い続けて10年にはなる。「継続は力なり」と尊敬のマナコで見てきた。それが、・・・イヤな予感はあったのだが…遂にこちらに矛先が向かってきた。そのきっかけは4年ほど前の人間ドック。まあ、一日全コース完了の簡単なも…

パックス・ジャポニカ

§コンビニのカウンターの行列ってとってもアナーキー§■1976年。ワシントンDCとポトマック河を挟んで隣接するバージニア州。無名戦死者とかケネディ大統領が眠るアーリントン墓地からちょっと離れたところに国防総省ペンタゴンがある。さらにそこから車でほん…

パナマ帽

毎年夏が来ると、我が領土は東南アジアの一角にあるのかと思う。もう、亜熱帯モンスーン気候と言ってはばからない。それが、今年の夏は「亜」が取れてモロ「熱帯」になった。地球がなんだかおかしい。そんなことに関係したって言えば言えるのだが、急に「パ…