気圧される

最寄り駅から準急新宿行き小田急線。8時30分頃なのでやや混んでいるが、ラッシュではない。乗り換え駅での人の流れに身を任せていると、反対側のドアの手すりを背に立つ塩梅になった。出口を目指して逆デルタ状に並んでいる10人ばかりと対面する感じになった。つまり、私が合唱団を率いる指揮者のような立ち位置にいる。
で、驚いた。その10人が10人ともスマホタブレット、i-Podを手にしているんだね。皆の視線は一様に小さな画面に落とされている。
こうなると、こちらもポケットからi-Phoneを取り出すことが憚られる。そう、そのone of themになるのが気恥ずかしくなった。……というか、気圧された。何に?何にだろう?
最近こんなデータを見た。
[http://:title=http://sirabee.com/2015/02/07/17368/]
カフェやファミレスでいわゆる「ノマド」的に仕事をしているのが9%ほど。一方、そのことが気に入らないと思っているのが、32.3%いるらしい。ここで、91%の「非ノマド」の全部が気に入らないとは言っていないのが面白い。
店側はWi-Fiも入れて「ノマド」をウエルカムしているのに、この32.3%の人たちは随分と〝ちっこいヤツら〝だなァって思ったが、……じゃなく〝気圧されて〝いるのじゃないかと睨んでいる。
時代に背後から踏み倒されて、馬乗りに通過され、後足で砂までかけられて〝アバよ!〝されてしまった。その敗北感を再確認させられるので、圧迫感のある“ヤナ感じ”—疎外感と言ってもいい―を受けているんじゃないのかな……。
ノマド」たちの林檎マークのデバイスとドヤ顔がとてもイヤ味なことが拍車をかけているのは分かるけど。
考えてみるがいい。もともと、喫茶店で原稿を書く文士もいたし、青色申告の纏めをやっている個人事業主もいたよね。会社でもなく自宅でもない「サード・プレイス」を選択肢に持っていていいんじゃない?
電車のなかだって、新聞・週刊誌・文庫本、ラジオ・ウォークマンって人がいたわけで。(今だっているし……)それらがスマホタブレットやPCにトランスフォームしただけの話でしょう?
手慣れてないから、目に慣れてないからダメなんて、情けないこと言わないでさ……。
(完)