ネコの眼、イカの眼

ネコっていうのは一日に14時間ほども寝ていてので、彼らの一生の3分の2は寝ているわけだ。だから、「寝子」っていうんだよっていう人がいる。さらにそのネコが寝ないまでもぼっーってしていることが多い。プレディター(捕殺者)として生まれてきた彼らは凄く眼がいい。しかし、その目から入ってきた膨大な情報を処理するにはそれほど高度な脳をもっているわけではなく、演算処理能力が大してないCPUをのっそりのっそり動かしているらしいのだ。虚空をうつろに見ているときには、「おい!お前のコンピューターは今フル回転なのか?もっとぐるぐる回せよ」って声を掛けたものだ。

もっと落差があるのがイカの眼だろう。ライアル・ワトソンの『未知の贈り物』という著作のなかで、彼がインドネシアの夜の海でイカの大群に小舟を取り囲まれて、その群れ全体が七色に変化しながら波のように発光していかにも何かを訴えようとしているようだったと描写していた。それはそれでとても興味深いことなのだが、ワトソンがイカの眼に言及して、なにゆえにあれほど高度な眼が必要なのだろうか?と不思議がっていた。それは例えれば、空っぽの靴箱の上に高性能なニコンのカメラが乗っかっているようなものだと酷いことを言っている。彼らの眼から得た情報を処理する脳をイカはほとんど持っていないのに等しいからだ。
……で、ワトソンは急に合点して、「あっそうか。イカが得た海底の画像・映像情報はガイア(地球)にひたすら提供しているのだ!」と膝を打って叫ぶ。その物凄い考察の跳躍にボクはもんどうり打ってひっくり返る。

(完)