スチュアーデスそして機内食

昔はスチュワーデス、男はスチュワードとかパーサーとか言っていたのに、いつのころからか「キャビン・アテンダント」という気持ちの悪い和製英語になった。「ポリティカル・コレクトネス」とかで、差別や偏見が含まれてない言葉を使おうねって———この場合は男女差別を排そうということで———アメリカでは両方にイコールで「フライト・アテンダント」を使うようになったのだが、日本ではCAになった。

相当前(多分75年かな……)、グアムからロタに今はなくなった航空会社のフライトで飛んだとき、スチュワーデスの一人はアメリカ人で一人はグアム島人らしかった。白人の方は“なんでこの私がこのボロエアーラインで仕事しなきゃならんのよ”という態度アリアリで不機嫌でブスくれてサービスしているが、片やミクロネシア系は“こんなステキなお仕事でホントに幸せよ”と片時も笑みを絶やさない。客のみんなもミクロネシアに声を掛ける。アメリカンはますますむくれる。

93年か94年ころ、ロスからハワイに行ったときに、気がつくとスチュアーデス全員が恰幅のいい中年女性ばかり。制服が皆パンパンではち切れそう。“折角のハワイ航路なのになぁ”とちょっとだけブルー。
あとで訊いたら、このように短いフライトはかつてスチュアーデスをやっていて、出産などをしてからまたパートタイマーで復帰している人に割り当てるってことだった。まあ、日帰りでロスに戻れる。

その話を友人にしたら……
「そんなの全然OKだよ。多少丸いってだけだろ?ソ連時代の『エアロフロート』に乗ったときには、“腰が曲がった”スチュワーデスがいたんだから」
「冗談だろッ?」
「ホントだって。頭の上へのトランクへの手荷物の上げ下ろしだって、気を使ってこちらがやるんだよ」

この“老婆のスチュアーデス”って美談なのかも知れないけど、自分の常識が吹っ飛ばされて驚愕した。

で、それ以来の衝撃かもしれないのがこれだ。
北朝鮮の「高麗航空」の機内食ハンバーガーらしい。
世界で最も悲惨な機内食と太鼓判だという。

エアーフランスのファーストクラスの機内食はさすがではあった。が、もうすでに機内食に夢を持つ人はほとんど皆無だと思う。
だが、いかにもこれは無残を通り越して、世をはかなむ類いのものだ。思い切って、なしという方がむしろよい。

北朝鮮の普通の人はいったい何をたべているのだろう。
辛いなァ……。

(完)