可愛い女

遠洋漁業の乗組員が、遠くインド洋あたりから日本に近づいてきて短波放送で日本の女性アナウンサーやDJの可愛い声を聞いたときに、“ああ、やっと日本に近づいているな”って実感するという。彼女たちが日本のなかでとりわけ可愛いい声っていうことはないのだが、外国人の女性に比べれば遥に舌足らずで高い声なのだ。

日本の女性のなかにはすっかり習い性になっていて、アラサーになっても甘えた物言いが続けている人は珍しくない。彼女たちが「かわいこぶりっこ」するのは、日本の男がそれが好きだっていうことに根拠している。つまり日本の女性にとっては、そう振る舞うことがベネフィットが大きく生き易いからだ。

犬や猫の子どものかわいさというものには抗しがたいものがある。"あっ、そうか、こう生きれば楽なのね"って学習して人類の側で生きているのがペットだ。つまり、かれらは“ワタシってかわいいでしょう?”と可愛さを対価に飯食っているわけだ。
日本の女の子たちも自らの可愛さを売り物にしてペットのように楽に生きようとしているのだと思う。それを意識しているといないに係わらず……。

『人類の足跡10万年全史』という本があり、そのなかにいろいろ示唆に富む記述がある。 (この本は私にとってこの5年ぐらいの間で読んだもののなかで最も面白いものだ。Amazon CAPTCHA)その中の一部を引用しよう。
ヨーロッパ人のなかでもイタリア人などは白人でありながら、肌が浅黒い。太陽の光の強い南ヨーロッパでは肌黒い方が優生学的に有利に働くからだ。つまり、白いままのヤツは紫外線がもとで皮膚癌になり易く相対的に寿命が短くなる。逆にイギリスの黒人は日光不足でくる病になり易い。オーストラリアの白人たちも南欧と同じ理由で年々黒くなって来ているというデータがある。
北アジアの“マンモス・ステップ”でマンモスの尻を追い掛け回して、食料にしたり骨を家の素材にしていた我々モンゴロイドの祖先は、寒い風を避けるために顔を扁平にした。それが選択・適応型進化だ。
より濃厚に女性の可愛さに関連してくるものに「ネオテニー」という学説がある。漢字で表せば「幼態成熟」。現世人類はネオテニーをそもそも有していると見做されている。チンパンジーの子どもは可愛らしく、顔は白く、人類に一番似ている。チンパンジーの成体はすぐに獣になるが、人類はほぼ幼態の頭が大きく毛が薄く色が白い子どものままでいる。そして、とりわけモンゴロイドのなかで、「幼態成熟」が色濃くでた女性は、かわいらしく見えて高く評価される。ここにも適応型進化が働いているとみるのが妥当だろう。

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その伝で言えば、日本人の女性(男性も)は年々可愛くなっていくはずなのだ。「アメーバピグ」というアバターがある。あれだ。われわれ日本人の何万年後何百万年後にはあーいうふーになっているというのはあながち嘘イツワリでもない。


この流れを阻止するためには、男が可愛い女にヨレヨレの盲目にならないことだ。女として完成された大人の女だけ認め、時には彼女たちの論に打ちのめされることも覚悟すればいいのだ。カワイさだけしか売り物がない女性をイイヨイイヨって甘えさせない覚悟と矜持をきっちり持つことなんだョ、ご同輩。

でも、無理っぽだな……。彼女たちの手練手管凄いもの……。

(完)